3月3日付の産経新聞の記事に、「有料老人ホームとサ高住急増 供給目標数上回る 群馬」という内容のものがありました。
「(群馬)県内の有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が、県計画の供給目標数を上回るペースで急増していることがわかった。2日の県議会一般質問で、新星会の金子渡県議の質問に青木勇医療介護局長が答えた。国が推進する『地域包括ケアシステム』の中で両施設は『住まい』に位置付けられているが、実際の入所者の約半数は要介護度3以上といい、国が描く青写真と実態との間で食い違いが生じている。」
記事では、有料老人ホームやサ高住が目標を上回るペースで作られているが、使われ方が当初の想定からズレている、という内容でした。
有料老人ホームもサ高住も、基本的には高齢者の「住居」としての位置付けですが、実際は入居者の半数以上が要介護度3以上の高齢者で、まさに「住居ではなくて介護施設」のような感じです。
今年度から地域包括ケアシステムの中では、要介護度3以上の介護が必要な高齢者は特別養護用心ホームへの入所が可能であるが、有料老人ホームとサ高住は、要介護度3未満の人が対象の高齢者の『住まい』として位置付けられています。
それなら、要介護度3以上の介護が必要な高齢者は、有料老人ホームやサ高住のような「住居」ではなく、初めから要介護者向けの介護施設に入れば良いのでは?と考えますが、現実はそう簡単にはいかない事情があります。
実はその「特別養護老人ホーム」なんですが、入所のために待機している高齢者の数が、約52万人いると言われています!
昼時にファミレスで、10人もテーブル待ちがいれば「長いなぁ、多いなぁ、はぁ…。」と思いますが、特別養護老人ホームには約530,000人の方が自分の順番が来るのを待っているんですよ。
そんな状態では、「あぁ、待つのは無理だな、他の店に行こう」ってなっちゃいますよね。
要介護度3といえば、大変な介護が要求されるレベルですし、悠長に待っていられません。
そこで、有料老人ホームやサ高住などの本来は「住居」のところに、要介護者3以上の高齢者の方々が、長蛇の列をなしている特別養護老人ホームに入居できない代わりに、少しでも介護を受けられる場所として「住まれている」んではないでしょうか。
群馬県介護高齢課によると「有料老人ホームとサ高住の入所者の実態を詳しく調べるとともに、『住まい』としての位置付けが適正かどうかについても検討していきたい」としています。
ただ『住まい』としての位置付けが適正かどうかは、介護が必要な約52万人の特養待機者を考えれば、どう考えても「(特養入所を)待ちきれなくて、(特養の代わりの介護施設として)入居している」という高齢者の方が多くいる気がします。
現に有料老人ホームやサ高住に入居している人にとって、実態を踏まえた判断がされて、サービス改善などの面でメリットが受けられるようになれば良いですね。