その昨日2月23日のシンポジウムでは、観光庁より谷口課長補佐が来られて「『障害者差別解消法』施行で旅行がどう変わるか」について説明されていました。
この障害者差別解消法は、障害のある人への差別をなくすことで、障害のある人もない人も共に生きる社会をつくることを目ざしています。
障害者差別解消法では、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が、差別になります。
それでは「不当な差別的取扱い」とは、どんな場合をいうのでしょうか?
例えば、「障害がある」という理由だけでスポーツクラブに入れないこと、アパートを貸してもらえないこと、車いすだからといってお店に入れないことなどは、障害のない人と違う扱いを受けているので、「不当な差別的取扱い」であると考えられます。
ただし、他に方法がない場合などは、「不当な差別的取扱い」にならないこともあります。
観光庁の谷口さんが旅行サービスの面で「不当な差別的取扱いの禁止」として説明されていたのは、下記の内容です。
また、「合理的配慮をしないこと」とは、どんな場合なんでしょうか?
聴覚障害のある人に声だけで話す、視覚障害のある人に書類を渡すだけで読みあげない、知的障害のある人にわかりやすく説明しないことは、障害のない人にはきちんと情報を伝えているのに、障害のある人には情報を伝えないことになります。
障害のある人が困っている時にその人の障害に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えて、それを相手にしてもらうことを合理的配慮といいます。
障害者差別解消法では、役所や会社・お店などが、障害のある人に「合理的配慮をしない」ことも差別となります。
旅行サービスの面での「合理的配慮の提供」として説明されていたのは、下記の内容です。
ただ、上記の2つの内容について、「役所」と「会社・お店」などではちょっと違います。
不当な差別的取扱いをすることは、「役所」も「会社・お店」なども禁止されます。 「役所」は、必ず合理的配慮をしなければなりません。
しかし、「会社・お店」などは、障害のある人が困らないようにできるだけ努力することになっています。
・不当な差別的取扱い
「役所」 :してはいけない
「会社・お店」など :してはいけない
・合理的配慮
「役所」 :しなければならない
「会社・お店」など :『するように努力』(努力義務)
ただし、合理的配慮のために、例えば、お金がかかりすぎたりすることもあります。 その場合、他の工夫ややり方を考えることになります。
この法律は平成28(2016)年4月1日から始まります。
この法律が4月から施行されて、誰もが参加できる旅行・ユニバーサルツーリズムの考えが広まり、「今まで旅行に行きたくても諦めていた方」や「もう年齢や体力的に旅行に行くのは無理かな、と考えていた高齢者の方」等が、また旅行を楽しめるようになると良いですね!